PEOPLE

ポリシーは、自らが率先して楽しむこと。
富士山麓で生まれる、しなやかなホスピタリティ

エクシブ山中湖 営業部門支配人 中嶋健治氏

~エクシブ山中湖 営業部門支配人・中嶋健治氏に聞く~

ワインの話をすれば止まらない。富士山の話になれば、ちょっとした講義が始まる。
営業支配人でありながら、J.S.A.ソムリエや温泉ソムリエなどの資格を次々と取得し、コンクールで優勝経験もあるという中嶋健治さんは、まさに“語りのプロフェッショナル”です。
「資格や知識は、すべてお客様との会話のため。そして自分の人生が豊かになるため。」と語るその眼差しには、ホスピタリティの本質と、自身の人生を謳歌する軽やかさが同居。そんな中嶋さんの存在が、エクシブ山中湖という場所に、ひとつの“物語”を添えています。

資格・検定は「会話の引き出し」。すべてはお客様との時間のために

リゾートトラストグループへ入社して31年を数える中嶋さん。よくしゃべり、よく笑う――いるだけでその場を楽しくさせる太陽のようなキャラクターだ。

J.S.A.ソムリエ、水のソムリエ、日本酒のソムリエ、温泉ソムリエ、富士山検定、美術検定――。現在、営業支配人としてエクシブ山中湖の集客や顧客満足の向上を担う中嶋健治さんは、その肩書きに収まらない多彩な知識と資格を保持しています。
「うちのお客様は富裕層の方が多いですし、そういう方との会話でも資格があると会話の幅も広がりますからね」
営業職でありながら、レストラン部門を押しのけてソムリエコンクールで優勝したことも。2025年は、レストラン以外のスタッフとして初めて優勝。テーマは日本ワインでした。
「日本のワインに関しては社内一詳しいと思っています。得意領域だったこともあって、コンクールではいい結果が出せました」(中嶋氏)
資格取得の出発点は「人とのつながり」。山中湖勤務時にワイナリー関係者と交流を持ったことが、ワインに興味を持つきっかけとなり、やがて本格的に学ぶようになりました。温泉ソムリエの資格は、箱根勤務時代に取得しました。
「もともと私はビールと焼酎くらいしか飲まなかったんですよ。でも山中湖に戻ってからワインを勉強し始めて、資格が一つ増えると、それが話題になる。そうすると、またお客様との距離が近くなる。そんな連鎖ですね」(中嶋氏)

「仕事は遊び」。自分が楽しむことがホスピタリティにつながる

「仕事は楽しむもの」という、中嶋さんのポリシーが広く伝播しているからか、エクシブ山中湖のホテリエは皆一様に明るく、イキイキと働いている印象。

「私は“仕事は遊び”だと思っているんですよね」、そう語る中嶋さんのスタイルは、リゾートという非日常空間において、いかに自然体で人と向き合うかという点に尽きます。ゲストは楽しみに来ているのだから、迎える側も同じように楽しんでいなければ、本当の意味で“共感”は生まれないといいます。
「基本的に自分がやりたいことをやる。自分が楽しむ。それをお客様に伝播する。社員にも伝播する。数々の資格や検定は、そのプロセスでもあり、結果でもありますね」(中嶋氏)
その“伝播”は、実際にかたちとなって表れています。お客様からは「妻の誕生日だから中嶋さんのペアリングでワインを飲みたい」といったリクエストが寄せられたり、「ワイン2ケースくらい見繕ってほしい」といった相談が持ち込まれたりすることも。
「ワインの試飲即売会を館内で開いたこともありますし、ワイナリーの方をお招きして、和食とのペアリング会を開いたりもしています」(中嶋氏)
プライベートでも活動は多彩。休日には日本の百名山と300余の全有人離島を巡る旅を続けており、先日は道東の山々を踏破。こうした旅で得た経験も、やがてゲストとの語らいの中で活きてくるのだといいます。

富士山に一番近い山中湖から、最高の富士山を堪能してほしい

富士山に関する知識は他の追随を許さない中嶋さん。机上の知識だけでなく、本物の富士山スペシャリストになるために、1年間で10回以上登ったこともあるとか。
赤く染まった富士山

「山中湖は富士五湖の中で最も東側に位置することもあって、特に赤富士・紅富士が映える位置なんです」と話す中嶋さんが特に力を入れている取り組みが、富士山をテーマにした体験型ツアーです。紅富士、赤富士、逆さ富士、ダイヤモンド富士、ムーンライト富士――時間帯や季節によって異なる富士山の姿を、最良のロケーションとタイミングで案内しています。
「“紅富士”“赤富士”は『日の出前後の12分間の短編映画』とも言われています。見られるかどうかは時の運ですが、幸いにも撮影できた方はその写真を飾られていますね」(中嶋氏)
一方、地元の花火師と連携し、宿泊者専用の打ち上げ花火を年間140回以上実施されているのも、山中湖のロケーションあってこそ。富士山の伏流水がもたらす地下水が全館の水道をまかなっているという話も、中嶋さんの語り口にかかれば、まるでひとつの物語のようです。
「日本の百名山と有人離島を制覇したら、次は世界へ。定年後は宿屋を開いて、つまみだけ提供する晩酌の宿をやりたいんです。ソムリエ、日本酒の資格もあるので、会話には困りません(笑)」(中嶋氏)
ゲストに「ご一緒します、いい人生」と言い切れるのは、ご自身が心から“人生を楽しんでいる”からこそ。中嶋さんは、そんな生き方を清々しい山中湖の空気とともに、朗らかにプレゼンテーションしているのかもしれません。

トレイに料理を乗せて運ぶホテルスタッフ
お客様に笑顔で接客するホテルスタッフ

資格を取ることも、ワインを学ぶことも、旅を重ねることも、すべては「お客様との会話が豊かに、そして自分の人生が豊かになるように」。その一点に貫かれた中嶋さんの働き方は、営業支配人という枠を超えて、エクシブ山中湖の“語り部”のような存在感を放っています。
型にはまらない自由さと、どこか少年のような好奇心。自分が楽しいと思えることにまっすぐ向き合い、その熱量を、押しつけがましくなく、自然にお客様へと手渡していく。その姿が、エクシブ山中湖の空気をやわらかく、心地よいものにしている気がしました。

2025.7.15

・写真はイメージを含みます。また、撮影当時の情報を基に記事にしており、現在の景観や記事内容と異なる場合がございます。予めご了承ください。