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「見る」だけじゃない、新しいアート体験。
新生・飛驒高山美術館の魅力に迫る

展示室4「アートラウンジ」

旅先にある美術館やギャラリーで美を堪能する――。旅行の目的が、その土地でしか楽しめないコンテンツやアクティビティを楽しむ“体験型”へシフトすることで、にわかに脚光を浴びるアートツーリズム。芸術鑑賞を目的とするこの旅のスタイルは、近年、世界的にも注目を集めています。
そこで本記事では旧飛驒高山美術館の名作の数々を継承し、装いも新たに開館した新生・飛驒高山美術館の魅力を紐解きながらアートツーリズムの入口へ招待します。

展示室1「ガレの杜〜アール・ヌーヴォー」

2024年3月、岐阜県高山市に誕生したサンクチュアリコート高山 アートギャラリーリゾート。“ホテルに滞在すること”を旅の目的にしたこのディスティネーションホテルの特徴は、なんといってもホテルと同じ敷地内に美術館を併設している点にあります。
宿泊客はホテルロビーのすぐわきにあるミュージアムエントランスを通ることでホテルからシームレスに美術館へアクセス可能。つまり、「起きてすぐ」、「食事をしてすぐ」、ガラス工芸品を中心とした稀有な芸術作品に接することができるのです。
旧飛驒高山美術館の作品をそのまま継承した、この美術館のコンセプトは「うつろいを愉しみ、五感を刺激するアート体験」。まさに新たな芸術体験の入り口にもってこいのスポットと言えるでしょう。

ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン7期三ツ星、旧飛驒高山美術館の作品群を継承

『フランスの薔薇』はガレの卓越した彫刻技術がいかんなく発揮された代表作の一つ。普仏戦争の敗北により奪われた故郷ロレーヌへの思いを込めて作られた。

かつて2009年から7年にわたり、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで三ッ星を獲得した実績を誇る飛驒高山美術館。注目すべきはガレやラリック、ルイス・C.ティファニーらによる作品そのものであることは間違いありません。
しかしその一方で見逃せないのが、館内に凝らされた鑑賞者の五感を刺激するさまざまな工夫です。入り口から順に奥へ奥へと進む縦長の館内はテーマや時代ごとに5つの展示室で区切られ、それぞれ異なるコンセプトに基づいて作品を展示。作品を体系的に鑑賞できる構造になっています。
入ってすぐの展示室1はその名も「ガレの杜」。トップライトを極限までしぼった、深い森の中を思わせるほの暗い空間に、ガレをはじめとするアール・ヌーヴォーのガラス工芸品が浮かび上がる姿は幻想的の一言で、私たちをまさしく芸術の杜に誘ってくれます。

館内に凝らされたさまざまなギミックが作品の魅力をひきたてる

展示室2「うつろいの間」。時間や気温、季節などに合わせて部屋のライティングや音楽、香りがうつろう空間が訪れた人に一期一会のアート体験を提供する。

さまざまな特長を持つこの美術館を最も象徴する空間を一つ挙げるとすれば、展示室2「うつろいの間」でしょう。
空間全体を彩る照明は高山市におけるリアルタイムの外気温に合わせて、1時間ごとに色彩が変化。一方、そんな光とあわせて私たちを楽しませてくれるのが館内に流れる音楽です。高山の地でフィールドレコーディングされた自然音と室内楽をミックスした楽曲は、国際的にも高い評価を受けるコンポーザー・一ノ瀬響氏(作曲)とアンサンブル・ノマド(演奏)によるもの。この音楽は時間や季節、天気などによって変化し、鑑賞者に一期一会のアート体験をもたらしてくれます。
さらに、照明や音楽のほかにも、この「うつろいの間」では、部屋の香りにも工夫が。春夏秋冬それぞれの季節をイメージしたアロマを用いることで、嗅覚からも心地よい変化を与えてくれます。

見て、聴いて、香って…過去から現在へと歩むアートトリップ

案内してくれたチーフ学芸員の林さんは愛知県の出身。自身もアート鑑賞を趣味とし、遠くはヨーロッパの美術館まで訪れることもあるという。

ラリックらによるアール・デコの名品をそろえる展示室3「アール・デコ」、ガレやマジョレルなどによるアール・ヌーヴォーの装飾芸術家具やミュシャのポスターなどを展示する展示室4「アートラウンジ」をひとしきり楽しみ、私たちが最後に辿りつくのが「光のギャラリー」と銘打たれた展示室5です。
外光を遮断していたこれまでの展示室とは異なり、ここでは壁の一面がガラス張りに。大きく縁どられた窓からたっぷり降り注ぐ自然光を取り入れた構造はまさしく、光の展示室。自然光によって照らされる現代の作家によるガラス工芸品の大作は、今、まさに刻一刻と移ろう時の流れを感じさせ、芸術が持つ、時代を超えた普遍性を逆説的に浮かび上がらせてくれます。

展示室2「うつろいの間」

視覚だけでなく、音や香りを通して、アートを楽しむ新たなスタイルを提示する新生・飛驒高山美術館。国内はもとより多くの外国人観光客も訪れるこの美術館は、アートが単に見るものではなく、体験するものであることを認識させてくれます。
そんなサンクチュアリコート高山 アートギャラリーリゾートを拠点として、岐阜や名古屋、富山・石川など北陸までのアートスポットを巡る壮大なアートツアーを組んでみるのもおすすめです。


【 飛驒高山美術館 】

営業時間:
10:00~17:00
休 館 日:
なし
入 館 料:
大人/2,000円、大学生・高校生/1,800円、中学生/1,300円、小学生/500円、
未就学児、ホテル宿泊のお客様、サンクチュアリコート高山メンバー様/無料
チケット購入方法:
現地の券売機またはウェブサイトにて前売り券を購入可能です。
所 在 地:
〒506-0055 岐阜県高山市上岡本町1丁目124番地1
アクセス:
車/中部縦貫自動車道「高山」I.Cより約10分、「高山西」I.Cより約12分
電車/JR高山本線「高山」駅よりタクシーで約4分
徒歩/JR高山駅より約25分

なお、サンクチュアリコート高山 アートギャラリーリゾート内のブティックはミュージアムショップも兼ねており、各種ミュージアムグッズを購入可能。併設のイタリア料理レストラン「OZIO」でのランチと入館券がセットになった「アート&ランチチケット」をご利用いただくことで、美術館とレストラン、ブティックをお得にご利用いただけます。

ブティック
イタリア料理 リストランテ オッツィオ
2025.3.14