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~MIRAI Collection Vol.2
「サンクチュアリコート高山『日本料理 飛匠』」~

料理長、大越美徳氏

「想像を超える味に出会いたい」という期待に、プロの技と斬新なアイデアで応える――。本物の料理とはこうした「食べる人」と「作る人」との、見えない信頼関係で成立しています。そして、期待を超えようとする思いが料理人を奮い立たせ、まだ見ぬ料理の境地を切り拓く原動力になっていくのです。
リゾートトラストが挑む、伝統と革新を両輪とした、新しい料理のプレゼンテーション「ミライコレクション」。シリーズ第二弾では、2024年3月にオープンしたサンクチュアリコート高山の『日本料理 飛匠』をレポートします。

飛騨高山の地で待っていた、新たな食材との出会い

サンクチュアリコート高山の『日本料理 飛匠』料理長、大越美徳氏。オープンに際しては、食器の一つひとつにいたるまで、自ら吟味し、厳選した物だけを用いている。

「ここで働き始めるまで高山に抱いていたイメージは山深い土地。直前まで食材の宝庫だった大分の別府で働いていたこともあり、『はたして知らない土地の高山で満足のいく食材が手に入るのだろうか?』という不安を抱えての着任でした。
ところが、いざふたを開けてみるとこれがうれしい誤算で、高山は飛騨牛や土地の野菜をはじめ、非常に食材が豊かなうえ、北陸・富山から新鮮な海の幸が毎日のように届きます。実際に働き始めてから、高山に対する印象は大きく変わりました」(大越氏)
2024年3月に開業したサンクチュアリコート高山の『日本料理 飛匠』の料理長、大越美徳氏にこの地に対する印象を問いかけると、返ってきたのはこのような言葉でした。
初島から、蒲郡、そして別府と、包丁を片手にその土地の食材をふんだんに活かして料理をし、日本を縦断してきた大越氏が、この飛騨高山の地で作る料理とは、はたして――。

信頼してくれたお客様と向き合う中で研ぎ澄まされた、料理の技

香りからして絶品のトリュフ香る土瓶蒸し 奥美濃古地鶏一夜干し。途中からすだちを絞ることで“味変”も楽しめるようになっている。

はじめに供されたのは「トリュフ香る土瓶蒸し 奥美濃古地鶏一夜干し」。飛騨舞茸などのきのこと、岐阜県名産・奥美濃古地鶏を一夜干ししたものでとった出汁に、トリュフをこまかくすりおろした汁物です。
土瓶の蓋を開けると広がるほのかな甘みを感じさせる大地の香りはまさしくトリュフのもの。それでいてしっかり「和」のお椀としての味を主張するのは、まさに匠の技のなせるものです。
「前の勤務先で定期的に食べに来てくださるお客様がいました。すでに亡くなられてしまったのですが、生前その方は『(大越料理長の料理には)外れがない』とおっしゃってくださり、時には“おまかせ”でオーダーされることもありました。
私の料理に対して、『外れがない』とまでおっしゃってくださったそのお客様の期待を裏切るわけにはいきませんから、毎回それこそ必死で料理を考え、作り、なんとかしてその期待に応える――こうしたお客様とのやり取りが私を育ててくれたと思っています」(大越氏)

「おいしかった」という言葉を聞きたい、その心が原動力に

盛り付けも鮮やかな、煮鮑と紅色卵のTKG。一流の料理人の手にかかると卵かけごはんでさえご馳走に。お客様に、「もっと食べたい」と思わせるのも、コース料理ならではの工夫。

つづいて姿を現したのが、鮮やかな朱のさじに盛り付けられた「煮鮑と紅色卵のTKG」。長野県にほど近い東美濃・中津川市の濃厚な鶏卵で作った卵かけごはんに煮鮑や鱒いくらをトッピングし、海苔でくるんでいただく、遊び心あふれる一品です。
あえて鱒のいくらを選んだ理由は、高山という山深い土地では鮭よりも淡水魚である鱒がふさわしいという考えから。大越料理長の作る料理には、こうした細部への配慮やこだわりが随所に凝らされています。
「私は幼いころ両親が自営業だった関係で、小学校高学年くらいから私が家族の料理を作るようになっていました。そうしていくうちに、やがて家族から『おいしかったよ』という言葉をかけられるようになり…。それがうれしくて、もっと聞きたいと思って作っていたら、自然に料理の世界に足を踏み入れていました。今でも料理を作る目的を聞かれたら、『食べた方から“おいしかった”と言っていただくため』と答えるでしょうね」(大越氏)

「日本料理 飛匠」の食事を楽しむ二人の女性

殻を破ることで、新たな味「食べたことのない料理」=ミライコレクションはつむがれていく

高山といえば飛騨牛。濃厚な飛騨山椒を使ったソースと、シンプルな能登の塩。二つの味で食べ比べることで、口の中で素材のうまみがよりビビッドに浮かび上がってくる。

そして、メインの肉料理「飛騨美濃特産名人の飛騨牛炭火焼」。岐阜県といえば飛騨牛が有名ですが、こちらはその中でも県が認定した11人の名人が育てた“名人牛”を使用したもの。絶妙なサシ(霜降り)が入ったサーロインは、口の中で解けるようなやわらかさ。舌に染み渡る濃厚な肉のうまみは、食べる人を得も言われぬ幸福感へと誘う一品です。
「私が考えるミライコレクションは、地元の食材と世界の高級食材を融合させた、『食べたことのない料理』です。作り手としては、“自らの殻を破る料理”とでも言いましょうか。
もちろん、そのためには料理の腕を磨くだけではなく、自らいろいろな味に触れることが欠かせません。実際、私も休みの日などには、ここ高山にある伝統的な懐石料理店からカジュアルな洋食店までいろいろなお店に足を運ぶよう心掛けています」(大越氏)

岐阜県高山市の「古い町並み(さんまち通り)」

大越料理長が掲げる座右の銘は「一期一会」。これは新たな食材との出会いだけでなく、人との出会いも大切にしたいという料理人としての矜持です。
そして、「自らの殻を破って、誰も食べたことのない料理を作りたい」という言葉は、まさにミライコレクションの精神を体現するもの。はたして、これから先、ここ高山の地でどのような味の体験が紡ぎだされていくのでしょうか。ぜひあなた自身の舌で確かめてみてください。

2025.3.24