笑いはコースの締めくくり——コロッケが語る、ホテルディナーショーの魅力

ものまね界のレジェンド、コロッケさん。今年で芸歴45周年を迎え、ますますパワフルに活動の幅を広げています。そんな彼が5月、「横浜ベイコート倶楽部 ホテル&スパリゾート」「ザ・カハラ・ホテル&リゾート 横浜」でディナーショーを開催。ホテルでのショーだからこそ感じる特別な空気感、そして人を笑顔にすることへの想いについて、お話を伺いました。
僕はディナーのもうひとつのメインディッシュ

――全国のホールやイベントでステージに立たれているコロッケさん。ホテルでのディナーショーにはどんな魅力を感じていらっしゃいますか?
コロッケ:まず、ディナーショーはお料理がすごいじゃないですか。そのコース料理の最後に出てくるもうひとつのメインディッシュが、僕。だからステージが面白くなかったら、せっかくの美味しいお料理の印象まで台なしになってしまうかもしれない。責任重大です。
ホテルは大切な人とゆったり時間を過ごす場所ですよね。食事を楽しんで、会話が弾んで、その後に僕のショーでさらに笑いが生まれて。家に帰ってから、「そういえば、コロッケがこんなものまねをやってたよね」って話が続いて、また笑顔になる。そんなふうに、お客様の記憶の中で笑顔が広がっていくのが、エンターテインメントの理想形だと思っています。
――ディナーショーには幅広い年齢層のお客様がいらっしゃいます。さきほどの昼公演(※この日は昼夜2回公演で、インタビューは夜の部の直前に実施)も、ご家族連れで大変盛況でした。演目は客層によって変えているんですか?
コロッケ:若い方が多ければ、最初にEXILEのものまねを入れることもありますし、もう少し年が上なら玉置浩二さんから始めることもあります。小さなお子さん向けにすることもあるし、若い方向けのネタをちょっと入れたりもします。年配の方が中心のときは、昭和歌謡の歌手のものまねも。今日は僕に近い世代のお客様が多いので、郷ひろみさんあたりがドンピシャですね。
――「あ!あのネタだ!」と、すぐに分かる方々ですね。
コロッケ:中には親子で来ている方もいて、幼い頃にご両親と一緒にテレビで見ていた思い出があるのかもしれませんね。ものまねは、何がウケるか世代によってまったく違うので、いろんな年代の方が楽しめるようにネタを組み立てます。
親子で来て、親が笑っているのを見て、子どもも嬉しくなる。そんな場面に出会うこともあります。たとえば、淡谷のり子さんのものまねをすると、まずお年寄りが笑って、その笑顔がまわりにどんどん広がっていく。そんなふうに、笑顔が連鎖していくのが、ものまねのいちばんの魅力だと思っています。
なにより、僕が届けたいのは、「一緒に楽しめる時間」。ご家族やお友達、大切な人と笑い合える。そんなショーを、これからも届けていきたいです。
近い、笑える、止まらない! ディナーショーの醍醐味

――ホテルのディナーショーは、ホールと比べてお客様との距離がかなり近いですよね。
コロッケ:そうなんですよ、今回はとくに近いですね。人数自体は多くないんですけど、そのぶん一人ひとりのお顔がよく見える、特別で贅沢な空間なんです。だからこそ、その場の空気感がダイレクトに伝わってくる。それが面白いんですよね。
――至近距離でコロッケさんと目が合ったら、お客様もちょっと緊張してしまいそうです。
コロッケ:僕、変な顔で見つめちゃいますからね。森進一さんのものまねをしている時に目が合うと、たいてい、お客様は目をそらします(笑)。
――今日のショーで「ここは特に楽しんでほしい」というポイントはありますか?
コロッケ:それはもう、ぜんぶがポイントなので、マックスに楽しんでもらいたいですね!たとえば、郷ひろみさんの眉毛がずれてるとことか、「あの顔だったな〜」って思える野口五郎さんの表情とか。
最近は韓国の人気グループ、BTSのネタも入れていますし、世代によって刺さるポイントが違うんですよ。森進一さんのものまねも、あの独特な歌い方をよくご存じの方には、ものまね自体がウケる。でも、若い世代には、僕の変な顔のほうが面白かったりする。
お客様のツボを探りながらステージをやっています。こちらから「ここが面白いです」って押しつけるより、お客様がそれぞれ自由に楽しんで、「ここ!」と思うところで笑っていただけたら嬉しいです。
笑顔につながるまでが、僕のステージ

――これまでで印象に残っているディナーショーのエピソードはありますか?
コロッケ:以前、ステージ中に、美川憲一さんのものまねをして会場をまわっていた時に、私の事が大好きなお客様が抱きついて来ることがありました。
そんなこともたまにはありますけど、僕には熱烈なファンがたくさんいる感じではないんですよ。たとえば、歌手ならこの人が好き、お笑いならこの人、俳優ならこの人、司会ならこの人……とお気に入りがいるなかで、「ものまねだったらコロッケかな」という立ち位置にいるんだと思います。つまり、ベスト3には入ってないけど、ベスト10には入ってる(笑)。でも、それでいい。「ものまね見るならコロッケにしてみようかな」って思ってもらえることが、すごくありがたいんです。
――いやいや、ファンは多いですよ。私は「五木ロボットひろし(機械のような動きで『契り』を歌うものまね)」や、美川憲一さん、野口五郎さんのものまねで大いに笑いながら育ちました。
コロッケ:世代によっては、本物の野口五郎さんより、僕のものまねを先に見ている人もいるんですよ。良くないものを見てから本物を見るパターン(笑)。「偽物が本物を先取りしてる」とでもいうんでしょうか。でも、それも含めて楽しんでもらえればいいんです。
――ステージに立つ上で、常に意識していることってありますか?
コロッケ:「お客様が一番、自分は二番」ということですね。もし僕のものまねが伝わらなかったとしても、「分からないならそれでいいや」とは絶対に思わない。「じゃあ何をすれば楽しんでもらえるか」を考えるのがエンターテイナーの仕事です。笑ってもらえるまで、ちょっとしつこいくらいやりますよ(笑)。その笑い声が僕のエネルギー源ですから。お客さんが盛り上がってくると、つい僕も熱が入って、予定していたよりステージが長くなってしまうことも。ホテル側としては、時間が押すと困るのは承知してるんですけどね……やっちゃうんですよ、つい。
――その「お客様ファースト」の精神、ホテルのホスピタリティにも通じますね。
コロッケ:そうですね。特に「ザ・カハラ・ホテル&リゾート 横浜」は、お客様への接し方も、僕ら出演者への対応も、本当に丁寧。話し方、笑顔、挨拶——どれも一つひとつ心がこもっていて、だからこそ、お客様にいいサービスが届けられるんだなと感じます。このホテルにお邪魔した後は、いつもスタッフと話題になるんですよ。「挨拶ひとつ、笑顔ひとつが大事だね」って。ゲストの前だけではなく、どんな場面でも変わらない姿勢。それが、本当に素晴らしいと思います。
45周年、そしてこれからも笑いを届け続ける

――今後の活動について教えてください。
コロッケ:今は新しいロボットモデルを仕込んでます。それから、いろいろなイベントで「DJコロッケ」もやっています。「さそり座の女」をEDMにしたり、昭和歌謡をクラブで流したりする「コロッケナイト」、これがけっこう盛り上がるんです。この前はキンタロー。さんがゲストで来てくれて、大盛り上がりでした。
秋に、明治座(9月20日~10月19日)や新歌舞伎座(11月8日~11月24日)での公演も控えています。松平健さん、久本雅美さん、檀れいさんと一緒に「大逆転!戦国武将誉賑(せんごくカーニバル)」という時代劇コメディをやる予定です。松平健さんが信長、檀れいさんが、信長の妻のお濃、僕が秀吉。かなり痛快な舞台になりますよ。
――芸歴45周年という節目の年に、ますます楽しみが増えますね。
コロッケ:本当に、あっという間の45年でした。でも、僕のものまねを観て今も笑ってもらえることが、何よりの幸せ。「来てよかった」「期待以上だった」って言ってもらえるように、これからも全力でやっていきます。
――DJに時代劇喜劇、そして歌も。これからもすごく楽しみです!
コロッケ:まだまだ走り続けますよ。いや、コロッケだけに、揚がり続けるって言うのかな(笑)。
