また"会いに来たくなる場所"を目指して――
淡路島で始まる、若きリーダーの挑戦

神戸から明石海峡大橋を渡ると、そこは山と海に恵まれた美しい島、淡路島。2025年春、この地に新たな部門リーダーが誕生しました。
エクシブ淡路島のサービス支配人、島崎 神(しまざき・じん)さん。若干29歳という若さながら、宿泊やレストラン、フロントといったホテルの主要部門を統括しています。
入社以来長らく勤務したエクシブ京都 八瀬離宮からの初めての異動。同期である総支配人とともに、「若手だけでも、これだけのホテルをつくれる」と言われるようなモデルケースを目指して、日々挑戦を重ねています。
京都八瀬離宮から淡路島へ。サービス支配人としての一歩を刻む

岐阜県出身の島崎氏は、2015年に高卒でリゾートトラストへ入社し、京都・八瀬離宮へ配属。バンケットやレストランなど複数の部門を経験し、最後は和食レストランのマネージャーとしてチームをまとめていました。
2025年4月、初の転勤となる淡路島への異動が決定。昇進を伴う新たな挑戦でした。
「29歳という年齢を考えると、少し早いなという思いもありました。でも、チャンスをいただいたからには全力で応えたいと思いました」(島崎氏)
赴任前は、創業から年月の経った施設ということもあり、設備の老朽化を懸念していたといいます。しかし、実際に現地を見て、その印象は大きく変わりました。
「むしろ想像以上にハード面が整っていてポテンシャルを感じました。レストランを含めて、まだまだ引き出せる魅力があるな、と」(島崎氏)
さらに、心強いのは総支配人が同期であること。同世代のふたりが中心となり、日々の運営と改善に取り組んでいます。
「若手だけでも、これだけのクオリティのホテルをつくれる。そう言っていただけるようなモデルケースを、ここ淡路島から発信したいと思っています。そう思える仲間と環境が、すでにそろっていると感じています」(島崎氏)
「人に会いたくなる」ホテルへ。イベントと接点づくりの試行錯誤

島崎氏が務める「サービス支配人」は、宿泊・レストラン・フロント・ハウスキーピングまで、サービス全般を統括する要のポジション。淡路島ではそれぞれの部門に専任支配人が置かれておらず、すべてを島崎氏が担っています。
「フロントからレストランまで、現場の課題にすぐ気づける立場です。そのぶん責任も大きいですが、すべてをつなげて改善していけるのが面白いですね」
着任してすぐ、島崎氏が注力したのは"人に会いたくなるホテルづくり"。ラウンジなどの付帯施設が少なく、お客様とスタッフの接点が限られるなかで、イベントは貴重なコミュニケーションポイントです。
「4月にはワイン会、5月は総支配人の就任イベント、6月以降もレストランイベントを予定しています。ホテルのロビーで縁日を開くこともありますし、以前は盆踊りもやっていました。」(島崎氏)
しかし、いくら魅力的な企画を打っても、会員様から「あの人に会いたい」と思ってもらうことが肝要だと言います。
「やっぱりホテルは"人"だと思うんです。商品力も大切ですが、リピートしていただく理由は"誰に会えるか"なんですよね。そこに、会員制リゾートの本質があると思っています」(島崎氏)
"任せて育てる"ということ。スタッフとともに目指すホテル像

島崎さんは、自らを「1プレーヤーではなく、支える側にまわる存在」だと語ります。
「支配人の私がどれだけ頑張っても、実際にお客様と接するのは現場のスタッフたちです。だからこそ、彼らが気持ちよく働ける環境を整えることが、いちばん大切だと思っています」(島崎氏)
対応に注意が必要な場合も、まずは若手に任せるというスタンス。それは突き放すのではなく、支える覚悟があるからこそ。
「何かあれば自分が出ていくから、まずはやってみてほしいと伝えています。現場でしか得られない経験がありますから」(島崎氏)
そうした考えは、自らが八瀬離宮で受けてきた指導に根ざすもの。叱るよりも、姿勢で示す上司たちに育てられた10年。その背中を今、自分が見せる番です。
「この仕事は、お客様から"会いに来てくれる"ことがあるんです。異動を伝えたら、わざわざ予約して、会いに来てくださる。そんなふうに"ありがとう"を伝えていただける仕事って、なかなかないと思うんですよね」(島崎氏)
彼は今、その感謝の連鎖を、自身のスタッフたちへとつなげていこうとしています。

淡路島の豊かな自然と、まだ眠っている可能性。
そこに、若きサービス支配人のまっすぐなまなざしと行動力が重なったとき、このホテルは"変わりはじめる理由"を手に入れました。
「また来たい」そう思っていただくための人の力、土地の魅力、心を動かすひと工夫――そのすべてを少しずつ積み重ねながら、島崎氏は今、エクシブ淡路島の新たな章を、静かに書き始めています。